パリ市内の古物市で見つけたドゥミタッス(日本での発音はデミタス)二種です。こちらは赤の地に金彩を施した絢爛な絵付けのセット。単色をムラ無く塗るのは難しく、高度な技術を駆使していると思われます。先日お店にいらした磁器の絵付けを指導している方によると、赤は金を原料にした釉薬であるため、とても高価なのだそう。ということで、こちらは、僕が扱う商品の中でも相当な高級品ということになります。
ソーサーの底には、「フランスはパリにあるル・タレックにより、デザインと彩色を全面的に手で施した」という文言が書かれています。中央の金彩の葉は、リモージュの文字を隠すために塗り潰したもの。
こちらはエキゾチックな唐草模様。一つ一つの筆致が確かで、とても美しい仕上がりです。
実は3年前に、同じ制作者による
パリ焼のハンドペイント・ジュエリーケースをご紹介していますが、もう一度おさらい。アトリエの主、カミーユ・ル=タレックは、日本では知られていないものの、フランスでは磁器作家として非常に高名。エリザベス2世を始めとする世界の王族のために食器を手がけ、ティファニーとのコラボレーションも彼のキャリアの中で大きな位置を占めています。ル・タレックのアトリエは、1990年にティファニーによって買収され、翌年にカミーユ・ル=タレックは逝去。ル・タレックのアトリエは、カミーユ・ル=タレックの死後も続きましたが、リーマンショック後は苦境に陥り、2014年にティファニーがアトリエを手放すことに。そして間もなく、アトリエは消滅します。詳細について。赤のドゥミタッスのペインターは、イニシャルがSFで、こちらはSHF。赤はOOの文字が入っているので、1961年の制作。青はAAで、1954年の作であることがわかりました。二点ともカミーユ・ル=タレック生前の作で、彼のキャリアの中でも一番活発だった時代のもの。それが絵付けにも現れていると思います。ただキレイだからと思って買い付けて来ましたが、実はかなりのレベルのものであったことに自分でもビックリでした~。
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