ドリス・ヴァン・ノッテンのショーは前回のメンズ同様、フランス国鉄の倉庫だったフレイシネ・ホールで行われました。皆が着席した頃に、オッサンが堂々とランウェイを歩いて来ます。たまに、カメラマンのためにモデルの振りをしてカメラマンの一人がショー前にランウェイを試し歩きすることがあるのですが、僕はてっきりそうだと思っていたら、中央にある楽器に向かっていったので、そこでやっとそのオッサンがミュージシャンだとわかったのでした。後で知ったのですが、そのオッサンはレディオヘッドのベーシスト、コリン・グリーンウッドその人でした。ファッション通信のスタッフでレディオヘッド好きに、ただのカメラマンのオッサンにしか見えなかった、って言ったらものすごく怒られました。
コレクションは、様々な要素を組み合わせるドリスらしい手法で貫き、いつもながらのエレガンスを見せてくれています。花のプリント、ジャカード、刺繍、ゴールドプリーツ、エスニックな貝刺繍など、ディテールとモチーフで装飾。フォルムはシンプルな印象です。
前回のメンズ同様、最後に正面のパネルの前にモデルたちが並び、招待客に服をジックリ見てもらうという演出でした。
こんな風に、ジャカード織りの裏側の糸が飛び出た部分を表に使ったアイテムも。
百花繚乱で、華やかなイメージであるけれど、どこか毒々しさも漂わせ、中世の静物画のようなダークな要素も散りばめて、ひとまとめにできない独自の世界観を構築。
先程、長く親交のある業界関係者と話をしていたのですが、某Dとか某Yとか、最近のビッグメゾンのコケ振りが甚だしくて見ていて悲痛、なんていう話になりました。例えばYとかはドリスがやったらどうなってたのかなぁ、なんてシミュレーションしてみたりするのですが、やっぱりちょっと違ったかなぁ、なんて。やはり、ドリスは自分のブランドでコレクション作りに専念することが使命なのかも。というか、もういっそのこと、上手くいかないビッグメゾンは潔く服作りを止めた方がいいんじゃないか、なんて極論を展開したくなるのが今の気分です~。
明日はカルヴェン~