ディオール・オムの会場はいつもながらパリのテニス・コート。セリーヌと同じ会場です。広く使えるのでメゾン側には利点があるのかもしれないけど、招待客にとってみたらパリ中心から遠いのが難。会場前ではメンズ・ノンノの撮影をしていました。この人、専属モデルオーディションの優勝者、高橋義明くんですって。21歳のピッチピチ。かなりのイケメンでした。
見飽きたでしょうが、カール様。LVMH会長ベルナール・アルノーと談笑中。
で、コレクションのタイトルは「A soldier on my own」。音楽は映像作家であるYoann LemoineによるプロジェクトWoodkidの『Iron』のGucci Vump Remixで、「A soldier on my own」というフレーズが登場するノリノリのエレクトロ。ショーの雰囲気に合っていました。音楽がヘンテコリンだと、いくら服が良くてもコレクション全体が台無しになりますからね。
特にミリタリーをイメージさせるカーキがメインになっていました。あ、カーキではなく、ディオール・グリーンと表現するだそう。とにかく僕が着ると人民服になってしまうので危険色かも(笑)。
クリス・ヴァン・アッシュのディオール・オムって、1つのコレクションの中で同じパターンを繰り返すことが多かったのですが、今回も同じアイデアのバリエーションはあったものの、オートマティックな繰り返しはなく、一つの流れが出来ていました。他のショーも含めて、見終わった後に充実感を味わうことができた久々のコレクション。ちなみにこのバッグはクロコ製。店頭価格、いくらになるんだろう・・・。
裏地に使う素材を表に重ねたり、セーターの生地を表側に縫いつけたりするなど、様々なアイデアを見せてくれています。グリーンでも、Tシャツ、ジャケット、コート、ネクタイと、それぞれ微妙に異なる色合いを組み合わせてトーン・オン・トーンで表現。コートの場合は、バックサイドにジップを使い、歩く度に裾が風になびき、流れるようなラインが美しかったです。
最高級の素材とアトリエの最高の技術で、エレガントなシルエットが完成。触ってうっとり。着てうっとり。ラグジュアリーメゾンならではです。インナーにTシャツを合わせてカジュアル・ダウンさせているのですが、このTシャツがまたもの凄いクオリティのカシミアだったりします。
最後のパートでは迷彩のような鳥をアップリケしたアイテムが登場。異なる素材の布を重ねてアウトラインを刺繍しています。クチュールの技術を持つディオールらしいアイテム。ミリタリー風のルックが続いたので、最後にこういったファンタジックなものを見ると、ディナーの後のデザートのようで気分が落ち着きます。
フィナーレではモデルが戦士のように一列になって一斉に行進。う~ん、さすがエティエンヌ・ルュッソ(演出家)、と唸る僕。ランウェイ正面のドアのアイデアはマンネリですが、今回は許す!
クリス・ヴァン・アッシュのシグニチャーラインのコレクションもなかなか素敵で、デザイナーとしての成熟度が増してきたような気がします。かなりいい線に行きつつあると思った僕は、素直に先輩ジャーナリストやセレブなスタイリストに「ディオールもクリスも良かったよねぇ」なんて投げかけてみましたが、はっきり言って無反応でした。この業界厳しいわ。でも実物を見たら彼らも唸るはず。とにかく、クリスにはこのまま突き進んでもらいたいです~。
明日からクチュールがスタート!