ヴィクトリアン期のピューター製ティーポット

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 先々月のこと。パリに住んでいた日本人ジャーナリストが書いた日本語の本が、パリの街中の古物市で売られているのを見つけました。沢山の本の中でその1冊だけが日本語で、その場では一種異様な雰囲気を醸していたため真っ先に目に付いたのでした。元々彼女がその本を出版していることは知っていて興味があったし、彼女とは会えば挨拶程度だけれど、少なくとも知り合いなわけで、買わない手は無いと迷わず購入しました。出版された当時は、久々に国際電話で話した母親が、いきなり先述のジャーナリストを知っているかと尋ねてきたのでビックリしたのを記憶しています。聞くと、そのジャーナリストが自叙伝を出版し、実際にそれを読んだか、その批評を読んだかしたとのことで、「女性とも恋愛してたみたい」とセンセーショナルに話す母に違和感を感じ、強烈な印象を残しました。でも、そんなことも頭の片隅に追いやられ、経つこと数年。パリの街中での古物市で、その本は突如僕の目の前に姿を現し、驚かされつつも「これだったのか」と思いながら1ユーロを払いました。そして今週初め、ジャーナリスト仲間と一緒に、とあるレストランのオープニングパーティへ行った時のこと。後からやって来たもう一人のジャーナリストとの会話中、先述のジャーナリストの人となりが話題に上り、パリのセレブリティとの華やかな交際を謳っているが、出版業界では実際のところ疑わしいとされている、という話になりました。それで、ふと2ヶ月前に購入した本の存在を思い出したのです。そして昨日。一大決心して部屋の大掃除をし、特に探していたわけでもないのですが、うずたかく積まれた未読の本の山からその本が出てきました。何気なく表紙をめくると直筆サインが入っていて、誰かに宛てた献本だったことがわかります。宛名を見ると、名前しかなく、苗字はありません。でも、それは紛れもなく、去年自らの命を絶った某セレブリティであることは間違いないと確信したのです。その理由をここで詳しく書くと、簡単に特定されそうですが、とにかくフランスでは珍しい名前、とだけ記しておきます。サインの他に著者の名前が印刷された小さなカードが添えられていました。そこにはフランス語で「日本語の本があなたの興味をひくかわからないけれど、私の母についての本なので、あなたに送ります」と書かれています。その亡くなった彼女は、彼女よりももっとセレブリティな母親との繋がりがとても深く、たとえ日本語を解さない彼女に読んでもらえなくても、著者はどうしても渡しておきたかったのでしょう。それにしても、この本がどうして古物市で売られていたのか、その経緯は知る由もなし。おそらくはその某セレブリティの死後、家族が処分したに違いありません。古物市で本を売っていたフランス人女性は、友人からもらい受けたと話していましたが、適当に答えたはず。というのも、元々の所有者を特定されかねない友人の遺品を安易に古物市で売りに出すかなぁ、と思うのです。きっとゴミ箱から拾ったのでしょう。それはさておき、その著者のジャーナリストは、今は亡きセレブリティとその家族との華やかな交際について様々なメディアで綴っていましたが、この本を僕が所有したことで、それが疑いようのない事実だったことが証明されました。というのは、先述の小さなカードに書かれたフランス語は、敬語的なVous(あなた)ではなく、Tu(君)という親しい表現を使っているからです。他にも多数のセレブリティを知己とする、としている彼女。少なくとも、その亡くなったセレブリティの家族については親しかったことがその1枚のカードから伺えます。まぁそれも、この本を贈られた女性と去年亡くなったセレブリティが同一人物である、という僕の身勝手な断定を前提にした話ですけどね。これで僕は今後、そのジャーナリストの不名誉な噂を少しだけ打ち消していく役目を担うことになったのですが、数年前には点だけだった本の存在が、実はそのセレブリティの死と古物市を介して線として繋がり、なぜか僕が引き寄せてしまった。そんな因果に、運命の不思議さを感じずにはいられないのでした。

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 ああ〜、前置き長過ぎ。失礼しました。今日はこちら。前置きとは全然関係の無い、ヴィクトリアン期のピューター製ティーポットです〜。

 先月にはヴィクトリアン期のティーポットを紹介していて、こちらもピューター製と書きましたが、実は名古屋の催事中、内側を磨いたら正真正銘のシルバーだということが判明しました。ピューターも、しっかり磨けばシルバーのように光ると信じていた僕が間違いでした。

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 それで、こちらは紛れも無いピューター製です(もう誰も信じないって?)。シルバー製のポットと同じく、イギリスはシェフィールドのショウ&フィッシャー社製。年代もほぼ同じで、19世紀半ばくらいまでのものだと思われます。

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 取っ手部分の白いパーツは象牙製。さすが、インドを統治していただけありますね。軟らかいピューター製品に有りがちな凹みや歪みなどはなく、また象牙部分の欠けも無く、状態としてはかなり良いです。

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 中もきれいなので実用向き。約200年前のポットで入れた紅茶って、どんな味がするんだろう〜。



実際に使ってみてください〜
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by tomoakishimizu | 2014-09-11 21:58 | 調度品 | Comments(0)
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