パリ市内の古物市で見つけたケーキ皿。中国趣味(シノワズリー)というか、そのまま中国・中国人の様子をユーモア(ブラックユーモア)を交えながらモチーフにしています。
説明書きは「思いがけず出現した新しい中国の影」。中国人を追い回しているのはヨーロッパ人の兵士。おそらく12枚セットの中の1枚で、こちらは12番。
こちらは11番。時の首相フィッシュ・トン・カン(Fich=Ton=Kan)がヨーロッパ人の兵士に蹴られている様子を描いたもの。
でもフィッシュ・トン・カンというのは実在の人物ではなく、フランス語のFiche ton camp(邪魔ものを取り除け)という言葉の引っ掛け。ちょっと綴りが違いますが、1875年にはエマニュエル・シャブリエ作の『Fisch-Ton-Kan』というオペラが上演されていたそうで、要するに、その当時のエキゾティズムと帝国主義の世相から生まれたものといえるようです。
モチーフの内容はあんまり笑えないのでさておき、皿本体の説明を。こちらは、パリ郊外の街ショワジー・ル・ロワにあったオータン&ブロンジェによるもので、オータン&ブロンジェは1920年にクレイユ&モントローを合併吸収していますが1950年代に閉鎖。このバックスタンプからすると1836~1878年の間に作られたよう。でも、英仏による侵略後だと思うので、おそらくは19世紀中頃以降のものでしょう。
実はこの2枚の皿、代官山で初お披露目しましたが、結局最後まで誰からも注目してもらえませんでした。いわゆる骨董品店で扱われるクラスのもので、見る人が見たらもの凄く喜んでくれるはず、と思ってたのに見事当てが外れたようです。やっぱり古めかしさが先に立ってしまい、女子にはキャッチーではないのでしょうか。持ってみると、ファイアンス(陶器)でも独特の厚みと重みがあるし、モチーフの絵付け(プリントですけど)の美しさと繊細さが瞬時に伝わる逸品なんですけどねぇ。次回も諦めずに販売しますよ~。
今度触りに来て下さい~
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