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19世紀のトルソー

 パリの東に位置するモントルイユの蚤の市は、パリの蚤の市の中でも特に歴史が古く、始まったのは19世紀初頭。クリニアンクール、ヴァンヴと比べてみると、特に泥棒度が高い。誰でも出店できる雰囲気があって、浮浪者や失業者、移民など様々な人々が集まるため物騒な感じもする。特に古着が多く、また新しい生活用品も沢山売られていて、例えばうちで使っているトンカチは、僕がパリに来た当初にモントルイユで買ったもの。そんな泥棒市的な場所なので、良いものが安く手に入ることも多い。
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 この19世紀のものと思われる立体裁断用トルソーは、今年の8月28日にモントルイユの奥の方のスタンドで購入。昔は女性がコルセットをしてくびれた腰を誇るのが当たり前だったので、立体裁断をする時もコルセットを締めた状態のトルソーを使っていたわけです。で、クチュリエのポール・ポワレが、女性から身体を締め付けていたコルセットを解放したのが1910年なので、まあ19世紀というのは大体合っているはず。これは42号なんだけど、腰周りは何とたったの55センチ。昔の女性は、コルセットのせいで内臓が圧迫されて長生きできなかったって話を聞いたことがあるけど。皆さん、現代に生まれて良かったですね。   
 先に日本製の50年代のぬいぐるみ2つを発見し、それが2つで10ユーロと言われ、それからそのトルソーの存在に気付いた。ぬいぐるみとトルソー両方で20ユーロといわれて、かなり悩む。部屋はぬいぐるみとレコードで飽和状態。置き場所がない。既に友人から譲ってもらったトルソーがあるし。でもこのコルセットを締めた状態の上半身のトルソーは、そう簡単にお目に掛かれるものではない。今までに見かけたのはほんの数回だけだったし、売っていてもかなり高いことは知っていた。結局買うことに。で、お金を払ってトルソーとぬいぐるみを受け取ってちょっとビックリ。あまりにも汚かった。トホホ。家に帰ってから修繕しなきゃ。
 ということで、早速汚い麻布を縫い目通りに切って外し、それを型紙に起こした。本当に汚くて、麻布は黒カビだらけだし、内側は白カビだらけ。マスクをして作業。本体は紙を粘土状にして型にはめたもので、保存していた場所が湿気ていたのか、所々陥没して歪んでいる。そこに粘土を埋め込んで補正。腕と首のところについている木の部品は、やはり汚かったので黒ペンキを塗った。
 そして次の日に僕のフェイヴァリット・カラーのフューシャ・ピンクの布を探しに18区の布屋街へ行き、帰ってきて型通りに裁断して縫合。それを依然カビだらけのトルソーに被せて縫い合わせてお終い。かなり大変な作業。
19世紀のトルソー_e0074478_22393599.jpg ちょっと皺が寄っちゃったけど完成!やっぱり安い話には裏があるのね。


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by tomoakishimizu | 2005-09-30 22:42 | パリの蚤の市 | Comments(4)
Commented by JEUJEU at 2005-10-01 23:31 x
本当に、素晴しいわ、趣味ってここまでやるから趣味なのよね、きっと。
トルソーも喜んでるわ。
Commented by tomoakishimizu at 2005-10-02 02:32
有難う、ジュジュさん。これからも精進します~。
Commented by あくび at 2005-10-03 09:32 x
ともさん、すご~い!!超楽しいブログですね~。私は昨日無事ロンドン到着です~。これからロンドンからもちょこちょこ覗かせてもらいます!!
Commented by tomoakishimizu at 2005-10-04 08:30
あくびちゃん、ブログ訪問有難う。今パリコレ中でアップできないけど
なるべく頑張ります。
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