セシルさんのアトマイザー&手鏡セット

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 セシルさんの遺品シリーズも今日でお終いです。で、最後を飾るに相応しい、マルセル・フランク社製のアトマイザー&手鏡セットをご紹介。
 
 これも棚の奥に大切に仕舞われていました。使った形跡は無く、新品同様です。

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 黒いカバーを外した状態がこの写真。アトマイザーの本体と手鏡の裏側には、18世紀の貴婦人と殿方のモチーフを使ったリモージュ焼きが使われています。フェミニンな意匠はとてもフランス的。

 定かではないですが、40~50年代頃のものだと思います。マルセル・フランクは1882年創業で、アトマイザーの制作を専門にしていたそうです。で、いつまで続いたのかわかりませんが、現在は存在しません。

 セシルさんは、香水をアトマイザーに入れて使うような習慣がなかったのでしょうね。でも大切に思う人からの贈り物で、大事に持っていたのだと思います。

 僕も香水は使わないので、本当にタンスの肥やしなんですが、セシルさん同様に僕も大切にしたいと思います。

 セシルさんの話、最終章です。

 セシルさんの遺品を古物市に出品し、ほとんど処分することができました。これで部屋のペンキ塗りの工事の準備が整いました。あとは業者が入るのを待つばかり。でもその頃から、部屋に入るはずだった友人の夫の病気が悪くなり、入退院を繰り返すようになっていたのです。

 そしてついに去年の11月末に、彼は永眠してしまいました。友人の夫はセシルさんに呼ばれたのではないのでしょうが、何か不思議な運命を感じます。

 友人の夫は友人に看取られて逝きましたが、セシルさんは孤独のうちに亡くなっています。友人たちにセシルさんの話をすると、「明日は我が身」と身震いする人が多く、やはりホスピスの必要性を強く感じました。今のところ先立つものが全く無い僕ですが、人生のゴールはホスピスを作ってみんなの世話をすること、それが見えてきたのです。そんなことここで発表してしまって良いのか、かなり謎ですが(笑)。

 どういうわけか、僕は年をとっても足腰が強いままで、相当長く生きるのではないかと思っています。だからリタイアしてから死ぬまでの間、人の世話をして生きるのだろうという気が昔からしていたのでした。でもこれも全て、セシルさんとの繋がりがなかったら思い付かなかったこと。彼女との出会いに感謝です。

 結局友人は、彼女と彼女の娘が入る部屋のほかに、セシルさんの部屋ではない、同じ建物内のもう一部屋を息子のために借りることにしました。

 セシルさんの部屋は、業者が入って古い絨毯をはがす作業をしましたが、今のところペンキ塗りの作業は行なわれていません。廊下にまで広がるカビ臭さは少しなくなったようです。

 セシルさんの若い頃の写真は古物市で売らず、彼女を思い出すために大切にとっておこうと友人と話をしていました。でもその業者が誤って捨ててしまったようで、永遠に失われてしまったのです。残念ですが、これも最初から決まっていたことのような気がしました。

 写真は無いし、お墓も存在しない。でもセシルさんの遺したものは僕の部屋にあります。友人の部屋にも、セシルさんが使っていた食器やイスなどが残されています。それらを見ながら、時々彼女のことを思い出すことにしよう、そんな風に思ったのでした。

セシルさん、またどこかで会いましょう~

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by tomoakishimizu | 2010-01-18 23:37 | 調度品 | Comments(20)
Commented by おH at 2010-01-19 04:18 x
すばらしいお話しをシェアしてくださり、ありがとうございました。いろいろと考えさせられることいっぱいです。
Commented by kimono-de-paris at 2010-01-19 06:10
自分のブログ更新を怠って、すっかり読者になっております。笑   コメント入れてませんが毎日楽しみに読んでますよ~~。今年も宜しくお願いします。

私も考えさせられる事が一杯ありました。セシルさんを想ってる友君の考える姿を想像して胸が熱くなりました。
同い年のよしみでお互い頭が真っ白色になるまで宜しくね!!
Commented by いづみ at 2010-01-19 09:58 x
セシルさんのお話に結末がって、それもこんな結末だなんて。
神秘的だね。映画になりそうなお話だね。
Commented by LB15 at 2010-01-19 19:02 x
蚤の市で出会う物って色んな物語を秘めてるんでしょうね。
友さんの話を読んで改めて思いました。

年をとって歩けるのとそうでないのでは大分違うみたいですね。
私も足腰鍛えておきます。

貴重なお話ありがとうございました。
Commented by alex at 2010-01-19 19:58 x
ずっと読みながら、セシルさんに興味をもっていました。
そう、また会いましょう~
私もそう思っています。セシルさんに限らず、みんな・・・・
今回は、物より人に惹きつけられました。
Commented by moma at 2010-01-19 23:04 x
いや〜!拍手〜 パチパチパチパチ
とても楽しかったし、ジーンと感動しました。
遠いフランスで、ノンフィクションのお話しを聞かせて
いただいて、ありがとうございました。
ご友人のご主人様のことや、写真が失われたこと、そして、
友さんのホスピスのお話、に驚きました。
今度またホスピスのお話など聞かせて下さい。
あぁ ステキなお話をどうもありがとう♪
Commented by tomoakishimizu at 2010-01-20 02:02
おHさん、自分も含めて、最後まで孤独でいるのは辛いことだと思いました。ホスピスは基本無料で、ボランティアとして働ける場になれば、と思うのですが、今の稼ぎでは・・・。とにかく頑張ります~。
Commented by tomoakishimizu at 2010-01-20 02:07
kimono-de-parisさん、いやあ、ご無沙汰してます。で、明けましておめでとうございます。今年も宜しく~。
それで、こちらこそ宜しくです。一緒に死ぬまでホスピスで働いてくれる(笑)?力持ちなご主人もどうぞご一緒に~。
Commented by tomoakishimizu at 2010-01-20 02:08
いづみちゃん、う~ん、かなりドラマチックな話でしょ。小説にして書こうかなとは思ってるよ。
Commented by tomoakishimizu at 2010-01-20 02:11
LB15さん、そうなんです。モノにも魂があって、代々の持ち主の波動が残っているのだと思います。だから我が家は物凄いことになっているはず。
体力的な話を書くと、僕って確実に強くなっていっているような気がします。飲んだ後とかは歩いて帰るし。って、いつも飲みすぎなんですけどね(苦笑)。負担にならない程度に鍛えるのは必要だと思うので、なるべく飽きないような形のトレーニングを心がけてます~。
Commented by tomoakishimizu at 2010-01-20 02:16
alexさん、そうですね。今回のセシルさんシリーズは、彼女の遺品というよりかは彼女自身がメインでした。忘れないうちに書いておきたいと思って。
この話は去年の10月のことでしたが、僕としても揺さぶられるような経験でした・・・。
Commented by tomoakishimizu at 2010-01-20 02:19
momaさん、ありがとうございます。でもホスピスの話は本当に絵空事状態です。僕は建物一軒を買い取って、一部をぬいぐるみ美術館(笑)に、そして残りをホテルのようにして、老人達に無料で入ってもらう、または住居に困っている学生に格安で貸す、ということをしたいのです。でも本当に先立つものがなくて。誰かスポンサーになってくれないかなぁ?
Commented by NAO at 2010-01-20 11:50 x
とても感慨深い最終章でした。たいへん驚きました、友さんのホスピスの
お話も含めて。今回のセシルさんのお話を聞くことができて
友さんに感謝です。母にも電話でこの話を話しています。
過労の夫との二人暮らしの私にも、孤独死は他人事には思えません。
子供もなく気楽に生きている分、老後の孤独は覚悟しているつもり
でしたが、全くリアルに想像できていなかったとこのお話を聞いて
思い知らされました。水泳を10年続けていますが、足腰のため
このまま一生続けようと思いました。
ともさん、セシルさんの素敵なお話をありがとうございました。
ぜひ小説にしてください♪
Commented by tomoakishimizu at 2010-01-21 00:50
NAOさん、どうもありがとうございます。日本にいた時は死に直面することが少なかったのですが、どういうわけかパリでは色々なことが周りで起こり、考えさせられることが多いです。
水泳ってある意味身体に良いのでしょうが、プールの塩素が身体に悪いとか、骨に水が入るから良くないと言う人もいるみたいです。走るのは足に負担かかりそうなので、歩くのが一番なんでしょうか。
セシルさんのお話、ちゃんとした形で発表できれば良いのですが、この出版業界の冷え込み加減を見ると、かなり先のことになりそうです・・・。
Commented by NAO at 2010-01-21 09:10 x
水泳、塩素や骨に・・そうなんですか。歩くのが一番よいのですね。
前回パリへ行ったときは、一ヶ月半ほとんどメトロを使わず歩いたので
本当に体調がよかったので、歩くって素晴らしいのですね。
Commented by 音々 at 2010-01-21 10:26 x
初めてコメントさせていただきます。セシルさんのお話と友さんのホスピスの夢、胸を打たれました。セシルさんのお話は視点を変えればホラーっぽくなりそうなのに友さんの淡々とした文章で救われています。    

私も一人暮らしなのである程度覚悟していますが、プライバシーを尊重しながら助け合えるような所があればいいなと思います。

また、友さんが体験されたお話をお聞かせください。楽しみにしています!
Commented by tomoakishimizu at 2010-01-22 19:30
NAOさん、歩くのが一番良いのかはわかりませんが、どのスポーツもし過ぎるのは良くないのでしょうね。
日本から来た人たちは、パリに来ると歩く機会が増えていいって皆さん言ってます。ま、車雇って全く歩かない人もいますけどね(笑)。
Commented by tomoakishimizu at 2010-01-22 19:34
音々さん、始めまして。そして初コメントどうも有り難うございます。
ホスピスの話はかなり壮大な夢なので、こればかりは実現は神のみぞ知るです・・・。女性の方が人口が多く、しかも長生きの可能性が高いので、もしホスピスを作るとなったら入居者は女性ばかりになりそうです。
で、セシルさんの部屋。そうですね、見たままを書くとホラーだったかも(笑)。でも彼女の人柄が伝わってきて、全く怖くありませんでしたよ。
また遊びに来てください~。
Commented by noachan111 at 2010-01-23 00:22
ジィィィ〜ンとても貴重ですばらしいお話をありがとうございました
Commented by tomoakishimizu at 2010-01-23 19:25
noachan111さん、どうも有り難うございます。人生のゴールに向かって頑張ります~。
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